代表質問
2012年11月29日

  
 庄野昌彦  新風・民主クラブを代表して、重要課題について順次質問してまいります。知事初め理事者におかれては、県民に対しての答弁と考え、気持ちのこもった温かい御答弁をお願いいたしておきます。
 まず初めに、復興予算、全国防災枠についてであります。
 全国防災枠については、知事会などからの要望もあり、将来の復興経費を大幅に縮減する災害予防の観点から、緊急防災減災対策として、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震に備えるために全国防災対策費として創設されたものです。十九兆円の復興予算のうち全国枠として一兆円確保されたものであり、本県でも大きな防災力の確保につながっています。
 しかしながら、南海トラフ巨大地震に伴う大津波により甚大な被害が懸念される本県においては、津波から県民の生命、財産を守るため、堤防などの社会基盤整備をさらに推し進める必要があると考えています。
 そこで、お伺いします。
 南海トラフ巨大地震に備えるため、本県の社会基盤整備に必要な全国防災枠を含めた公共事業予算の確保にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、グリーンエネルギー改革の重要性に鑑み、本県でも再生可能エネルギー基本条例を制定し、再エネ事業を推進していくべきとの見地から質問いたします。
 昨年三月の東電福島第一原発の事故後、日本のエネルギー供給の考え方が大きく変化してまいりました。人や環境に優しい再生可能エネルギーに向ける国民の期待値は大変大きなものとなっております。
 先月二十三日、私はPHP研究所主催のセミナーに参加し、NPO法人再エネ事業を支援する法律実務の会の代表である水上貴央氏の講演を聞きました。内容は、現在国で進めている地域主導型再生可能エネルギーに関するもので、民間企業や環境NPO、さらには地域住民も参画し、地域の特性に適した再エネ導入の事業化計画を策定する手法についてでありました。水上氏は、特に再エネポテンシャルが高い地域の自治体の役割が重要で、多くの再エネ事業者が出現し、持続的な事業化、多様な雇用機会を創出し、自治体としての方向性を明確にするために再生エネルギー基本条例をつくり、自治体の公共施設における再エネ推進、地域住民の再エネ推進の補助、地域企業等の再エネ事業推進の総合支援を宣言すべきであると言われました。私も時代に合った鋭い指摘だと思います。
 脱原発に向けた大きなうねりの中、地球温暖化防止の観点から、化石燃料への依存度が高まるということは避けなければならず、再生可能エネルギーの利活用に積極的に取り組むことは重要であります。
 本県は、自然再生エネルギーの宝庫であります。既に風力については佐那河内村に風力発電施設が設置されており、現在、上勝町、神山町との境には大規模な風力発電施設のウインドファーム構想が民間で進められ、またメガソーラー建設も前進しております。これらの取り組みを支援するとともに、小水力や木質バイオマスなど他の自然エネルギーについても積極的に活用し、地域の特性に適した再生可能エネルギーの導入を図るべきですし、これらの自然エネルギーを活用したエネルギー産業の育成は、地域経済の進展や雇用にも大きく貢献すると考えます。既に本県においてはグリーンニューディール基金を用いて防災拠点などへの太陽光発電施設、蓄電池の設置を進めており、私も評価をいたしております。そこで、次はさらに地域へ、企業へと広げていくために、再生エネルギー推進基本条例(仮称)を制定し、県民に協力を求め、再エネ事業の普及を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、セミナーでは、神奈川県太陽光発電推進課の小碇副課長からかながわスマートエネルギー構想の推進、いわゆる屋根貸しによる太陽光発電の普及について講演があり、県有施設、高校等の屋根を民間企業に貸し出し、太陽光発電を推進する内容が示されました。FIT、固定価格買取制度では、十キロワット以上、非住宅は二十年間全量買い取りが約束されているため、設置から撤去までを考えて二十五年を超えない範囲で貸し出し、民間企業はFITを利用して四十二円パーキロワットアワーで電気事業者に売電するモデル事業を開始し、新たなビジネスモデルを発信しています。今後、工場、事業所等民間の施設の屋根貸しも視野に入れているといいます。このモデル事業は、屋根貸しが発電事業として成り立つ規模を勘案し、一棟の屋根面積が千平米以上の施設の中から耐震性や屋根の構造をチェックし、二十施設、二十五棟を選定し、公募した結果、十一事業者から応募があり、四事業者を選考、合計二千二百キロワットアワーの設置を決定したといいます。県に入る屋根貸し使用料収入は年間五百万円ということでした。
 この構想は、埼玉県、岐阜県、福岡県など他の自治体へも波及しているそうです。また、本県は特に日照時間が四国一と言われておりますので、民間企業にとっても魅力的だと思います。
 そこで質問ですが、本県においても公共施設での太陽光発電パネル設置の可能性を探り、本県にとっても収入増につながりますし、また民間企業にとっても新たなビジネスチャンスにつながる屋根貸しという事業の検討をしてみてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、地籍調査の推進についてお伺いします。
 地籍調査事業は、土地の所在と境界を明確にするものであり、調査済みの地域については、県、市町村が行う道路整備などに必要な用地買収が迅速に行え、事業実施のスピードアップや地図混乱地域の解消による個人の土地売買の円滑化など、地域経済の活性化に貢献することが大いに期待できる事業であります。特に山村地域においては不在地主の増加や土地境界精通者の高齢化により山林の境界確認が困難さを増していることから、事業の早期の進捗が望まれております。
 こうした中、知事の先見性ある判断により、厳しい財政状況にもかかわらず、地籍調査の加速度的促進を図るため、平成二十一年度から平成二十三年度までの三年間、それまでの事業予算から倍増させ強力に事業を推進していただき、本年度につきましても同額の予算を確保し事業の推進を図っているところであります。この結果、この三年間では、全国平均が一・四ポイントの増加であるのに対し、本県では四・○ポイント増加するなど、全国平均の約三倍のペースで進捗しており、着実に成果が上がっているとお聞きしております。しかしながら、時間と予算を必要とする事業であり、トンネルや橋などのように華々しく見えるものではないことから、残念ながら事業主体となる市町村の取り組み状況に大きな差が出ており、特に阿南市以南の沿岸部市町においては大きく出おくれております。
 一方、県では先般、南海トラフの巨大地震における津波浸水被害想定を公表されましたが、今までの公表数字と比べて沿岸部を中心に浸水面積が一・七倍になるなど、発生時には甚大な被害が想定されます。東日本大震災の復旧、復興事業においては、地籍調査が災害復旧の迅速化に必要であることが再認識されたところであり、本県においても同様の効果が望まれております。
 そこで、お伺いします。
 近く発生が危惧される南海トラフの巨大地震に備えるためにも、地籍調査のさらなる促進が必要であると思いますが、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。
 次に、木造住宅の耐震化事業についてお伺いします。
 昨年三月に策定された「とくしま―○(ゼロ)作戦」地震対策行動計画におきましては、南海トラフの巨大地震、活断層地震での死者ゼロの実現をスローガンに掲げ、木造住宅の耐震化について、住宅全体の耐震化率を平成二十年度の七二%から平成三十二年度には九五%にまで高めることが目標とされております。そのため、耐震診断の公費助成も実施しながら耐震改修へと進むように改修工事における県費補助も行ってきているところであります。
 しかしながら、十月の新聞報道によりますと、旧耐震基準で建てられた木造住宅約九万戸のうち、これまでに耐震診断を受けた住宅は一二・四%、また耐震改修を実施した住宅は耐震診断を受けた住宅の七・一%程度にすぎないという状況が報告されておりました。
 南海トラフの巨大地震の際に、本県で予測されている最大震度である震度七では、旧耐震木造住宅の約六五%が全壊すると言われており、死者ゼロの実現のためには、これらの住宅の早急な耐震化が不可欠であります。あらゆる方策を講じなければなりません。
 私は、先月十七日、高知県議会を訪問し、高知県土木部住宅課震災担当の方から高知県の取り組みをお伺いしました。高知県でも診断から改修へとスムーズに進まない中、平成十九年度、耐震診断と耐震改修の間に存在する耐震改修設計という部分に注目し、改修設計費への独立した補助、上限二十万円を始めたことにより、改修工事の実施戸数が平成十九年度が八十六軒だったのが、二十年度は二百九十六軒、二十一年度は三百二十四軒、二十二年度は二百七十三軒、二十三年度は六百六十軒と大幅にふえてきたといいます。本県の場合、改修設計費への補助を改修工事費の一部として行っておりますが、参考にすべきだと考えます。
 そこで、お伺いします。
 本県においても、市町村や建築士会など業界団体と連携し、耐震改修をさらに促進する意味においても、耐震設計の補助も含め、耐震改修につながるあらゆる取り組みを行うべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 答弁をいただき、質問を続けてまいります。
  
○知事(飯泉嘉門) 庄野議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。
 まず、全国防災枠を含めた公共事業予算の確保にどのように取り組んでいくのかでございます。
 本県におきましては、甚大な被害をもたらす南海トラフの巨大地震が切迫しておりますことから、生命や財産が失われてから予算を投じるのではなく、地震、津波を迎え撃つことが重要である、このように認識いたしているところであります。
 このため、被災地に限らず復興支援の観点からも、災害予防として三連動地震対策が不可欠であるとの徳島発の政策提言を繰り返し行いました結果、国の平成二十三年度第三次補正予算におきまして、復興関連予算の中に全国防災枠が創設されたところであります。さらに、本県に対しましては、治水事業では全国防災枠の一七%、港湾事業では四四%、そして海岸事業に当たっては七四%に上る重点配分がなされるとともに、本年度の国の当初予算についても昨年度と同様の重点配分がなされましたことから、今まで手つかずでありました旧吉野川、今切川などの地震津波対策が飛躍的に前進しているところであります。
 さきの国会におきまして、復興関連予算の使途について被災地に極力限定すべきとの議論がなされましたことから、去る十月二十五日の近畿ブロック知事会議におきまして、本県からの発議により「全国防災対策費」の確実な確保に向けた緊急決議を取りまとめますとともに、十一月七日、私みずから国に出向き緊急提言を行い、下地防災担当大臣からは南海トラフ巨大地震の影響がある地域に集中投資をするとの回答もいただいたところであります。
 さらに、一昨日開かれました全閣僚から成ります復興推進会議におきまして、今後の復興関連予算に関する基本的な考え方の中で、本県のような大規模地震の対策地域における河川の津波遡上対策、海岸堤防、防波堤の耐震対策などの事業につきまして、引き続き全国防災対策費として認められたところであります。
 しかしながら、具体的な方針や内容につきましては来年度の予算編成過程の中で決定されますことから、時期を逸することなく全国防災対策費を含む公共事業予算の総額の確保、南海トラフ巨大地震の発生が懸念される地域への予算の重点配分について強く訴えかけてまいりたいと考えております。
 今後とも、東日本大震災の教訓をしっかりと踏まえ、想定外との言葉を二度と繰り返すことなく、南海トラフの巨大地震、これを迎え撃つとの強い気概を持ち、死者ゼロを目指すとくしま―○(ゼロ)作戦の実現に不退転の決意を持ってしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、再生可能エネルギー推進基本条例を制定すべきとの御提言をいただいているところであります。
 本県は、太陽光、風力、水力など環境負荷が少ない再生可能エネルギーの宝庫でありまして、平成二十年十月には、中四国で初、地球温暖化対策に真正面から取り組みます地球温暖化対策推進条例を制定し、この時点で再生可能エネルギーの利用の促進についてしっかりと盛り込み、積極的にこれまでも取り組んできたところであります。
 また、本年の三月には、自然エネルギー立県とくしま推進戦略、こちらを策定いたしまして、メガソーラーの誘致を初め、四つの戦略プロジェクト、これを平成二十六年度までの三カ年、集中的に展開いたしているところであります。
 この結果、県内では再生可能エネルギーの導入の動きが活発になっているところでありまして、民間事業者によるメガソーラーの整備や新たな風力発電事業の計画が進められますとともに、県みずからも県有地二カ所におきましてメガソーラー事業に着手いたしたところであります。
 今後は、これまでの取り組みに加え、産学官民の有機的な連携によります情報発信や専門家のコーディネートを図り、地域における再生可能エネルギーの導入の取り組みについてより細かく支援することによりまして、戦略の着実な展開を図ってまいりたいと考えております。
 一方、国におきましては、現在、再生可能エネルギーの導入を含む今後のエネルギー政策について議論がなされているところであります。今後、こうした国の施策の動向も見きわめながら、その内容をも踏まえ、議員御提案の基本条例の制定も含め、本県における再生可能エネルギーの導入をさらに加速するための方策について鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、南海トラフの巨大地震に備えるためにも、地籍調査に今後どのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。
 地籍調査事業は、正確な不動産登記、公平な課税、そして公共事業の円滑な実施などのため、極めて重要な役割を担っておりまして、また雇用創出効果も大きいことから、県といたしましては、これまで事業推進に鋭意努めてきているところであります。
 議員お話のとおり、特に平成二十一年度から本年度までにおきましては、県では地籍調査を経済雇用対策の主要事業に位置づけ、山林境界の明確化に重点を置き事業推進に努めた結果、お話がありましたように、全国平均を大幅に上回るスピードで進捗いたしているところであります。また、平成二十三年度までの新規雇用者数が七百八十四人になるなど、過疎地域の活性化や地域振興に大きく貢献いたしたところであります。
 一方、東日本大震災後の復興事業におきまして、地籍調査の有無が事業の進捗率を大きく左右させるものであることが本県から派遣いたしております職員の報告からも明らかとなっているところであります。
 このため、県といたしましては、平成二十五年度以降の地籍調査事業、こちらを南海トラフ巨大地震の津波浸水予測地域や直下型地震等による被害予測地域に重点化をし、発災後の復旧、復興を迅速に行うことができるよう、しっかりと備えてまいりたいと思います。
 厳しい財政状況ではありますが、今後とも、計画的な事業の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   
○県民環境部長(妹尾 正) 公共施設への太陽光発電システム導入について、民間企業への屋根貸しを検討してみてはどうかとの御質問でございますが、本県における太陽光発電の導入につきましては、自然エネルギー立県とくしま推進戦略の四つのプロジェクトにおきまして積極的に展開しているところであり、特に災害に強いまちづくりプロジェクトにおきましては、国のグリーンニューディール基金などを活用し、公共施設に太陽光発電と蓄電池をセットで導入することで、防災拠点、避難所としての機能の強化を図っているところでございます。
 屋根貸し事業は、太陽光発電普及のための新たなビジネスモデルとして注目され始めた事業であり、神奈川県を初め数県で取り組みがスタートしているところでございますけれども、長期にわたり貸し付けを行わなければならないことから、防災拠点機能等としての役割が求められている中で、屋上の活用方法に関する調整、また立地条件や屋根の形状、パネルの設置による耐震性などの把握、施設管理主体との調整などのさまざまな課題も考えられます。また、国においては、建物における屋根借り事業者の権利を明確にするため、屋根に対する登記制度の整備を検討項目に上げているところであります。
 今後、こうした国の動向に留意するとともに、関連部局と連携を図り、再生可能エネルギーの導入推進や新たな歳入確保策の手法といたしまして、県有施設での導入の可能性について検討してまいりたいと考えております。
  
○企業局長(県土整備部長事務取扱)(海野修司) 耐震改修を進めるための取り組みについての御質問でございますが、本県では、南海トラフの巨大地震を迎え撃ち、住宅の倒壊による圧死や避難路の閉塞を未然に防ぎ、助かる命を助けるため、木造住宅の耐震化を最優先課題として取り組んでいるところであります。
 このため、住宅全体の改修を行う耐震改修支援事業に加え、昨年度から、本県独自の制度として、一部屋改修などの簡易な耐震化と、これにあわせて実施する省エネ、バリアフリー工事に補助する住まいの安全・安心なリフォーム支援事業を創設し、市町村とともに耐震改修の促進に努めているところであります。
 しかしながら、耐震診断の受診戸数に比べると改修工事の実施戸数の比率が低く、耐震診断から改修工事にスムーズにつながらないことが課題となっており、耐震診断後の住宅所有者への改修工事の内容や工事費、施工業者についての情報提供などが必ずしも十分ではなかったことが大きな要因であると考えております。
 議員お話しの高知県では、改修設計費への独立した補助とともに、耐震診断から設計、改修工事までを同一の業者が実施することにより改修工事の実績が増加しておりますが、業者の選定や工事内容の透明性の確保が課題であると考えております。
 そこで、本県では、今年度から新たに各地で個別相談会を開催するとともに、過去に耐震診断を受診した方についても戸別訪問やダイレクトメールの送付により本年度新たに作成した耐震化工事事例集の紹介や、工事内容、施工業者に関する情報をわかりやすく提供し、耐震改修の促進に努めております。その結果、十月末時点で耐震改修支援事業と住まいの安全・安心なリフォーム支援事業を合わせ、昨年同月比で一・五倍を上回る実績となっております。さらに、耐震改修の工期や工事費を抑え、耐震化に取り組みやすくするための工法として、六月補正予算により耐震性を備えた建具や小型耐震シェルターの開発を進めております。
 今後は、高知県を初め、改修実績が多い他県の取り組み状況についてさらに研究、分析を行うとともに、耐震診断を受診した方を対象にアンケート調査を実施し、これらを踏まえて、市町村や関係団体と連携しながらさまざまな工夫を凝らし、耐震改修につながる取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。
 
○(庄野昌彦) それぞれ御答弁いただきましたが、コメントにつきましては最後にしたいと思います。
 質問を続けます。
 次は、公契約条例の制定を目指し、県として検討チームを発足させていただきたいという趣旨で質問をいたします。
 徳島県議会では、平成十七年二月定例会において、国に対して公契約法制定を求める意見書を可決し、提出しました。時を同じくして、県内二十四市町村においても法制定を求める意見書が可決されています。公契約における公共工事や委託契約、指定管理等における現場で働く労働者の賃金低下を食いとめたいという思いで、全国の地方自治体でも本年六月十五日現在で三十九都道府県、七百六十五の自治体で意見書が可決され、国に提出されております。しかしながら、いまだ法制定に至っていないのが現状であります。
 ただ、法制定も重要ですが、地方自治体が発注する公契約は独自性を持っており、自治体がそれぞれの理念にのっとり独自で公契約条例を制定することは今や大変重要な意味を持つものとなってまいりました。
 昨年四月には、日本弁護士連合会から全国の地方自治体に対し、貧困問題、ワーキングプア及び男女間賃金格差解消の見地から、公契約に基づいて労務に従事する者たちの適正な労働条件を確保するために、公契約条例を積極的に制定することを要請しました。それは、大阪市からの委託によって清掃業務に従事している労働者が、月二十六日フルタイムで働いているのに、受給額が生活保護基準に達せず、生活保護申請が認められたという事態が発生したことや、震災からの復興のために大量の公共工事が行われることになるが、同様の事態が生じないようにしなければならないという趣旨で要請されたものであります。
 現在、千葉県野田市、川崎市、相模原市、多摩市、国分寺市、渋谷区において条例化がなされています。また、札幌市などのようにパブリックコメントにまで進んでいるところもあります。また、県の段階で言えば、長野県、佐賀県、大分県、奈良県、愛知県などでは公契約条例の庁内検討会議を正式に立ち上げ、検討に入ったところもあります。ここ一年余りの間に各自治体の動きは活発になってきております。
 また、先日、環境省発注の福島第一原発周辺の除染作業において、現場作業員に特殊勤務手当が支払われていないという実態が報道されておりました。元請のゼネコンに続いて下請が幾つも連なる多重請負構造の中で、中抜きがされている可能性が指摘されております。このようなときに公契約法がきちんと整備されていれば、例えば作業現場において労働者の賃金、手当がきちんと表示されていれば、被曝の危険性と精神的労苦に対する手当がきちんと受け取れていたと考えます。
 また、昨年に引き続き、本年十月二十七日に徳島県の公契約条例・公共サービス基本条例の制定を目指すフォーラムが開催されました。徳島県からも関係部局から多くの参加をいただきました。お礼を申し上げます。
 フォーラムでは、川崎市公契約条例、多摩市公契約条例の制定にかかわってこられた弁護士の古川景一氏より、公契約規整、公契約は社会政策上の目標を実現させることが重要であり、公契約の業務に従事する就労者の労務報酬は生活保護費を下回らない賃金が支払われることは当たり前のことであり、地方自治体での公契約条例制定を促進することが重要であると述べられました。その理由として、一、国の法律との関係で言えば、地方自治体での公契約規整、とりわけ契約内容決定の自由に基づく規律を国の法律で義務づけることは原理的に不可能、二、公契約規整を通じて実現を図る政策目標の設定は地方自治体によって多様であるため、法律ができても自治体条例は必要であるとのことでありました。私は、先月二十四日、川崎市役所を訪問し、条例制定を担当された契約課長さんから説明を受けましたが、本県も制定に向け汗をかく時期に来ていると強く感じました。
 そこで、お伺いします。
 本県においても、条例制定を視野に入れ、公契約のあり方研究チーム(仮称)を設置し、公共工事、業務委託、指定管理業務、物品の調達など、本県が民間企業等と結ぶさまざまな契約、公契約のあり方について部局横断的に調査研究し、県としての対応を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、がん検診の受診率向上についてお伺いいたします。
 がんは生涯のうちに二人に一人がかかり、三人に一人ががんで亡くなると言われています。本県においても、県民の死亡原因は昭和五十六年以降がんが第一位であり、厚生労働省の平成二十三年人口動態統計によりますと、本県の死亡者のうち、がんを死因とする方が二六%を占めているという状況にあります。また、高齢化の進展に伴い、がんによる死亡はさらに増加すると見込まれております。
 このように、県民の多くの方ががんで亡くなっているという現状や、全国に比べても高齢化が早く進む本県の状況から、がんの対策は非常に重要な大きな課題であると考えます。
 こうした中、去る十月に改築された県立中央病院には、高度ながん診療機器が導入されました。がんにかかられた人にとっては、これらの機器設置は非常に心強いものであります。しかしながら、これらの機器を使用して治療し、がんを克服して元気に家庭や地域、職場へ帰るためには、早期のがんの段階で治療することが必要であり、またそれが機器の持つ機能や効果を最大限に発揮するものだと思います。そのためには、何よりも一人でも多くの方ががん検診を受診し、がんを早期に発見することが重要であると考えます。本県が策定しているがん対策推進計画にも、検診受診率の目標五○%が設定されておりますが、実態として、本県の受診率は全国状況と比べてもかなり低い状況であります。
 そこで、県全体のがん診療体制の環境が整いつつある中で、改めて県民の皆様にがん検診受診の重要性を訴え、受診していただくように取り組んではどうかと考えますが、本県における受診率の向上に向け、現在どのような取り組みや啓発等を行っているのか、また今後の取り組み方針をお伺いいたします。
 次に、有機農業の推進についてお伺いいたします。
 今月十五日、宮崎県綾町を会派で視察しました。綾町は、宮崎市北西部に隣接した人口七千数百人の町です。当町は、本年七月、ユネスコエコパークに登録されました。エコパークは、ユネスコが認定する生物圏保存地域の国内通称です。過去、国内では志賀高原など四カ所が登録されていますが、綾町の登録と大きな違いがあります。それは、四地域は国が選んだのに対し、綾町の場合は、地元が苦労して申請し、地域主導の持続可能な開発と自然保護の両立が重視された九五年以降のユネスコ戦略に合致した結果と言われております。
 綾町の広大な照葉樹林、シイ、タブ、カシ、ヤブツバキ、モッコク、サザンカ、サカキなど、葉っぱが艶々していて落葉しない常緑広葉樹は、新鮮な空気や豊富な水を生み出し、多様な動物を育てていると言われています。生物多様性を保全し守ってきたことと環境を壊さない農業や産業を長年進めてきたことが認められた結果であります。すばらしいことと思います。
 役場を訪れて一番最初に目にとまったのは、綾町憲章の看板でした。昭和五十八年に制定された憲章の一番目は、自然生態系を生かして育てる町にしようでした。前町長郷田實氏――一九六六年就任――の思いが伝わってきます。郷田氏は、ふるさとの自然をなくしてはいけないとの思いから、国の針葉樹植林政策に反対を貫き、てるはの森の伐採を最小限に食いとめ、昭和六十三年には綾町自然生態系農業の推進に関する条例をつくり、化学肥料、農薬などの合成化学物質利用を排除することや、土の自然生態系への回復、食の安全と健康保持、遺伝毒性を除去する農業、遺伝子組み換え作物の栽培を行わないことを宣言し、し尿や生ごみを肥料とした土づくりを進めました。
 綾手づくりほんものセンターには、近郊から買い物客が訪れます。綾町の人口は、昭和四十五年から現在までおよそ七千人余りで推移し、入り込み客数は昭和五十五年は二十一万人でありましたが、現在では年間百万人の方が訪れるとお聞きしました。野菜には金銀銅の印があり、金は三年間無農薬、有機肥料でつくったもの、銀、銅は町の認証基準に沿い、農薬や化学肥料を抑えてつくった野菜です。このような綾町の自然生態系の中で有機農業に取り組む先進性には感心したところであります。
 本県においても、家畜由来や菌床シイタケのブロックを有効に活用した堆肥を使用し、有機農業が営まれております。今回の視察を踏まえ、綾町の自然生態系農業の推進条例を参考にしながら、今後さらに安心・安全な有機農業を推進する必要があると感じたところであります。
 そこで、お伺いします。
 本県においても、今後、有機農業の推進に積極的に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の防疫対策についてお伺いします。
 二○一○年四月に発生した宮崎県の口蹄疫は、約三十万頭に及ぶ牛や豚を殺処分し、同年八月二十七日に終息宣言がなされました。私は、当時、宮崎県川南町、新富町で家畜の処分にかかわった者として、その後、家畜がいなくなった畜産農家はどのようになっているのだろうか、畜産農家の方々の当時の苦悩を思い出すたび気がかりでありましたが、今月十六日、会派研修で全処分頭数の半数以上、十七万六千頭が処分された川南町を訪問いたしました。
 日町長さん、山下町議会議長さんの挨拶もいただく中で、当時からの課長さんからお話を伺うことができました。課長さんは、反省点として、発生農場の封鎖は完了し、町道も封鎖し、交差点では人員を配置し防疫作業を開始したが、当時、県警察との連携がうまくとれなくて、県道の封鎖に三日もかかったことを踏まえ、あらかじめ迂回看板や標識を準備しておくことの必要性、またマスコミが入るのを阻止するのに時間がかかったこと、消毒ポイントが多数になるので水の確保、バキュームカーの確保、消毒関連機材――消毒薬を含む――の三日から四日の確保などを教えてくださいました。また、一番つらい仕事だったのが、職員として発生農家に対して全頭処分の依頼をしに行くのが悲しかったとおっしゃっていました。
 復興に向けては、現在、約六割の農家が牛、豚などを導入していますが、頭数は発生前の約五割くらいです。経営中止を決めた農家が三三%、不明が三%あり、もとの川南町に戻ることは厳しい現状です。しかし、復興に向け、農場の入り口への消毒ゲート設置、畜産から露地園芸農家への転換、六次産業化に取り組む農家の支援、農商工連携の推進などの対策をとっておられました。
 なお、この十月に長崎県で開催された第十回全国和牛能力共進会では、口蹄疫で多くの牛を失いましたが、九部門中五部門の優等首席に加え、第七区の総合評価群における内閣総理大臣賞、さらには団体賞で一位を獲得しました。宮崎県知事は、宮崎牛が日本一を連覇できたのは、今回の出品に携わった方々を初め、長きにわたる肉用牛改良における歴史の中で挙県一致で取り組んできた成果であり、口蹄疫に際し、全国の方々から寄せられた多大な御支援と励ましのおかげですとのコメントを表明いたしております。
 川南町で和牛の繁殖を再開した農家を訪問いたしましたが、畜主の方は、連覇はうれしい、これからも頑張っていきたい、そして伝染病対策には非常に重きを置いているということをおっしゃっておられました。
 そこで、質問いたします。
 口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの伝染力が強く、発生すれば甚大な被害を及ぼす悪性家畜伝染病については、日ごろから十分過ぎるくらいの備えが必要であり、本県の防疫対策をどのように構築しているのかお伺いいたします。
 また、獣医師の確保は将来的に大丈夫なのかどうか心配しています。仮に獣医師職員の欠員状態が続くということになると、防疫体制に大きな支障が出ると思います。六年制の教育を受けてきた獣医師が大多数になる中、今こそ県においても医師、歯科医師同様の給料表の適用や初任給調整手当の改善などの処遇改善についても検討し、全国知事会や関西広域連合など、あらゆる機会を通じて獣医師確保、処遇改善の主張をすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 御答弁をいただき、まとめに入りたいと思います。
  
○知事(飯泉嘉門) がん検診受診率の向上に向けた取り組みや啓発、そして今後の取り組み方針について御質問をいただいております。
 がんは、昭和五十六年以降、国及び本県の死亡原因の第一位であり、本県では毎年約二千五百人もの皆さん方ががんによって死亡されるなど、県民の皆様の生命や健康にとりましてまさに重要な課題となっております。
 そこで、本県では、国に先んじ平成二十二年十月、全国で三番目となります中学三年生を対象といたしました子宮頸がんワクチンの公費助成による接種を開始いたしますとともに、県立中央病院へのPET―CTやリニアックなどの高度ながん診療機器の設置、また現在改築中の三好病院への緩和ケア病棟の整備など、がん対策に積極的に取り組んでいるところであります。
 また、がんで亡くなる方を減らしていくためには、早期発見につながるがん検診の受診が不可欠であり、これまでも市町村検診におきまして、子宮がん及び乳がん検診の広域化や、子宮がん、乳がん及び大腸がんの各検診を無料で受診することのできる無料クーポン事業などに取り組んできているところであります。さらに、今年度末の改定を進めているところであります徳島県がん対策推進計画におきましても、がん検診の受診率の一層の向上を重点課題の一つに位置づけ、働く世代のがん対策とがん教育に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えるところであります。
 具体的には、働く世代ががんに罹患することは、本人や家族はもちろんのこと、職場や社会に及ぼす影響も大きく、企業の従業員はもとより、来訪者に検診の受診を勧めるがん検診受診促進事業所の増加、ショッピングセンターでのがん検診受診啓発イベントの共催など、企業などによります検診の受診に向けた取り組み、こちらをさらに強化してまいりたいと考えております。
 また、がん教育といたしましては、NPO法人AWAがん対策募金との連携によります高校生などへのがんに関する教育や子供たちから両親へ検診受診を促すメッセージカードを送付する取り組みなどを行い、本県の将来を担う若者のがんの正しい知識やがん検診の重要性の理解を進めていただくよう創意工夫しているところであります。
 今後とも、県内の約五十の関係団体で構成いたします「みんなでつくろう!健康とくしま県民会議」におきまして受診率の向上を重点目標として掲げるなど、県民お一人お一人に自主的な予防や早期発見に取り組んでいただくことができますよう、市町村や医療機関はもとより、企業、学校、地域が一体となってがんの制圧に向け、県を挙げて取り組んでまいりたいと考えるところであります。
  
○政策監(熊谷幸三) 口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの悪性家畜伝染病の防疫対策についてどのように構築しているのかとの御質問でございますが、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど悪性家畜伝染病が発生すれば、議員からお話がありましたように、畜産関係業界のみならず、地域経済活動や県民生活にも大きな被害を及ぼすこととなります。
 このため、まずは発生させない予防対策が不可欠でありますことから、特に鳥インフルエンザにつきましては、一年を通じゼロのつく日、十日、二十日、三十日を消毒の日と定め、養鶏場の一斉消毒を初め、関係団体や市町村と連携した本県独自の防疫対策を徹底して進めてきた結果、現在まで養鶏場での発生は認められていないところであります。
 一方、万一の場合に備えた防疫体制にも万全を期す必要があります。去る十一月一日には、美馬市におきまして、香川県境の養鶏農家で鳥インフルエンザが発生したとの想定のもと、一連の初動防疫対応に加え、四国四県での連携作業の確認、警察官による消毒ポイントでの車両誘導など、自衛隊、国、市町村、さらには建設業協会を初めとする支援協定締結団体など関係者二百五十名が参加し、実践的な防疫演習を実施したところであります。
 また、迅速な初動防疫に必要な防護服七千着、消石灰七十トンなど県内における資材の備蓄に努めるとともに、四国四県での四国家畜防疫支援チームや近畿ブロック十府県で構成する家畜伝染病対策協議会におきまして、消毒薬や防疫資材の共同活用、防疫活動の相互支援など、広域連携体制の充実強化をも図っているところであります。
 さらに、異常家畜の早期通報の徹底、畜舎への野生動物侵入防止対策など、生産農場における防疫体制を強化するとともに、鳥インフルエンザの感染源とされております渡り鳥の飛来情報を関係団体と連携し農家へ提供する取り組みを新たに進めることといたしております。
 今後とも、地鳥出荷羽数日本一の阿波尾鶏や阿波牛、阿波ポークを初め、本県が誇る畜産ブランドはもとより、地域経済や県民生活をしっかり守るため、悪性家畜伝染病を発生させない、持ち込ませないとの強い決意のもと、関係者一丸となり全力で取り組んでまいります。
 
○経営戦略部長(豊井泰雄) 質問を二点いただいております。順次お答えいたします。
 まず、条例制定を視野に入れ、公契約のあり方研究チームを設置し、部局横断的に調査研究し、県としての対応を検討すべきとの御質問でございますが、議員からお話のありました公契約条例につきましては、県が発注する工事や委託業務の受注者に対し、県の定めた水準以上の賃金の支払いなどを契約により義務づけることを主眼としたものでございますが、賃金を初めとする労働条件につきましては、発注者が県であるか民間であるかにかかわらず、最低賃金法や労働基準法などの労働関係法の定める範囲内で労使間で自主的に決定することが原則でございます。
 このため、労使間で決定した賃金を上回る賃金を強制することは現行法との整合性から問題があること、また県の発注する業務に従事する労働者の賃金のみを条例で引き上げることの公正性や妥当性の問題、賃金コストの上昇による事業者の経営への影響や下請に至るまで賃金の支払いをどのように確認するかといった実効性の確保などさまざまな課題がありまして、現在のところ、どの都道府県におきましても条例を制定しない状況にあります。
 このような中、本県におきましては、現行の契約制度の中におきまして、業務の質や適正な労働環境が確保されますよう積極的な取り組みを行ってまいっているところでございまして、公共工事につきましては、入札制度改革といたしまして最低制限価格及び低入札調査基準価格の引き上げを初めといたしまして、低入札に対するペナルティー強化などの総合的なダンピング対策に取り組みますとともに、低入札価格調査や下請企業との契約などの調査により指導を行っているところでございます。
 また、警備やビルメンテナンスなどの業務委託契約につきましても、業務の実施体制や労働者の労働条件等の状況把握や適切な指導に努めているところでございます。
 さらに、本年十月には、業務委託の質の確保及び県内企業の健全な発展や労働者の適正な労働条件の確保を図るため、業務委託への最低制限価格制度の導入につきまして、部局横断的に庁内の関係各課で構成する検討会を立ち上げ、現在鋭意検討を進めているところでございます。
 このため、まずはこの会におきまして清掃業務などの業務委託契約への最低制限価格の導入につきまして検討を行いますとともに、公契約条例につきましても、既に条例を制定している市の運用状況や公契約のあり方研究チームの設置も含めまして、他の都道府県の状況について十分情報収集するなど、しっかりと調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 獣医師の確保、処遇改善についての御質問でございますが、近年、国内における高病原性鳥インフルエンザや口蹄疫などの発生を契機といたしまして、食の安全・安心や畜産物の安定供給に対する国民の関心がより一層高まってきていますとともに、また同時に、健康を脅かす人と動物の共通感染症への適切な対応も強く求められているところでございます。
 こうした状況の中、食品の安全確保、人と動物の共通感染症の予防、家畜伝染病の防疫などにおいて、地方自治体の獣医師が果たすべき役割は極めて重要なものであり、その社会的責務は増大の一途をたどっているものと認識いたしております。
 一方、最近のペットブームによる小動物志向や獣医学生の小動物分野での就業希望の高まり、さらには獣医系大学の地域偏在などを受けまして、今後、地方自治体における獣医師の確保がさらに難しくなることが懸念されるところでございます。
 このため、本県では、獣医師を確保するための方策といたしまして、複数回の試験を実施することによる受験機会の拡大、受験可能年齢の二十九歳から三十九歳への段階的な引き上げ、さらには獣医師に対する初任給調整手当の創設を行っているところでございます。加えまして、昨年度からは、大学において獣医学を履修しており、将来本県機関において獣医師の業務に従事しようとする学生に対しまして修学資金を貸与する制度を創設するなど、処遇改善を含めましたさまざまな取り組みを実施してまいりました結果、近年では、採用者数の確保につきまして一定の成果が得られているところでございます。
 しかしながら、議員からお話がございましたように、家畜伝染病対策など地方自治体の果たすべき業務に支障を来さないよう、今後も安定的に獣医師を確保するための取り組みが必要であると認識いたしているところであります。そのため、これまでも機会を捉えましては、本県のみならず、四国知事会といたしましても関係省庁や人事院に対しまして医師と同等の俸給の制定や初任給調整手当の支給などの待遇改善、地方自治体に勤務する獣医師の役割や必要性に関する獣医大学のカリキュラムの充実など、地方自治体における獣医師の確保に向けた提言、要望を積極的に行っているところであります。
 今後におきましても、他の都道府県との緊密な連携を図りながら、四国知事会などを通じまして、関係機関に対し、地方自治体に勤務する獣医師の処遇改善のための提言、要望を粘り強く行うなど、本県の獣医師確保に向け、引き続き努力してまいりたいと考えております。

○農林水産部長(吉田和文) 有機農業の推進に積極的に取り組むべきとの御質問でございますが、議員からお話のございました宮崎県綾町は、自然生態系農業の推進に関する条例を制定するなど、有機農業に関し先進的な取り組みが行われていると伺っております。
 本県におきましても、徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本条例に基づきまして、自然生態系に配慮した環境に優しい農業を推進いたしておりまして、有機農業につきましても、新たな参入や経営の安定化が図られるよう、生産者に向けまして有機農業に取り組むための事例集の作成、配布、生産者と量販店のバイヤーやシェフとの商談会の開催、堆肥の供給者情報の提供など、さまざまな支援を行ってまいりました。
 また、消費者に対しましては、エコ農産物フェアや児童、生徒による環境に優しい農業絵画コンクールの開催によりまして、有機農業への理解を一層深めていただくための取り組みを行ってまいりました。この結果、畜産や菌床シイタケに由来する有機肥料を活用いたしました美馬市の有機ゆず、小松島市のいのち育むたんぼ米、海部郡のかいふエコブランド農産物など、県下各地で新たな取り組みも始まっております。
 しかしながら、農薬を極力使用しないという有機農業は、雑草や病害虫の被害を受けやすく、品質や収量が不安定となる傾向にありまして、また必ずしも労働やコストに見合った単価での販売が見込めないといった課題もございます。このため、今後、生産者に対しまして、天敵である昆虫を用いた農薬を使わない技術の普及、土づくりに欠かせない堆肥散布機の導入、有機肥料を用いた栽培基準の策定など、安定した生産体制の構築に向けまして、これまで以上に積極的な支援を行ってまいります。
 また、消費者の皆様方に対しましては、有機農業体験ツアーや生産者との交流会を開催するなど、生産者の取り組みを御理解いただくための機会をふやしてまいりたいと考えております。
 こうした取り組みによりまして、安全・安心はもとより、自然生態系に配慮した有機農業を今後ともしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  
○(庄野昌彦) それぞれ御答弁をいただきました。コメントを申し上げます。
 まず初めに、全国防災枠の確保については、本県にとって南海トラフの大地震から県民の命と財産を守るため、事前の防災減災対策としてぜひとも必要な事業でございます。どうか今後とも予算確保に向けた御尽力をお願いいたしておきたいと思います。
 また、再生エネルギー推進条例については検討していくとの答弁でございました。本県の方向性を示すためにも、ぜひとも早期条例化を期待しております。
 また、昨年からことしにかけまして会派として木質バイオマスの可能性を探るために、J―POWER本社を初め、長崎県松浦石炭火力発電所、阿南の橘湾発電所、また松浦石炭火力発電所で混焼する木質ペレットを製造している宮崎県小林市にある宮崎ウッドペレット株式会社を視察いたしました。化石燃料を削減し、地球温暖化防止対策にもなる石炭火力発電所での木質ペレットの混焼は有効な手段であり、阿南の橘湾発電所でも所長さんにお聞きすると、供給があれば混焼は可能とのことでありました。また、宮崎県、高知県などでは、園芸用ハウスの熱源として石油にかわり木質ペレットの使用を開始、検討いたしております。
 現在、本県では、次世代林業プロジェクトにより生産された木材を製材工場に供給し、残りの低質材については合板やMDFに加工するなど多段階利用に努め、できるだけ木としての利用を進めておられます。次世代林業プロジェクトは、今後、四十万立方メートルの増産計画を立てておりますが、お聞きしますと、徳島すぎは現在年間百万立方メートルの成長量があると言われます。杉本先生のこれはもうおはこでございますけれども、木材の生産には基盤整備や担い手の育成、採算性など課題は多くあることは存じ上げておりますが、本県の豊富な森林資源を背景に、さらに増産を図って、自然再生エネルギーとしての木質バイオマスの将来をにらみ、研究されますように要望いたしておきたいと存じます。
 また、県有施設での屋根貸しについては、導入の可能性について検討していくとの答弁でありました。しっかりとした検討をお願いいたします。
 地籍調査については、市町村としっかり連携して進めていっていただきたいと思います。
 木造住宅の耐震化事業については、個別相談会や耐震化工事事例集など、工事内容や施工業者に関する情報をわかりやすく提供し、耐震改修の促進に努め、実績も上がってきているとの答弁であり、県としても耐震改修促進に努力していることは私も評価いたします。今後、さらに耐震設計費補助の検討も含めて、建築士会などあらゆる団体にも協力いただき、耐震改修へとつなげていっていただきたいと思います。
 公契約条例に関して答弁をいただきました。
 本年十月に、業務委託への最低制限価格制度の導入について、庁内関係各課で構成する検討会を立ち上げて検討を進めている、まずはこの検討会で業務委託契約について検討し、公契約のあり方研究チームの設置は調査研究していくとの答弁でありました。業務委託の検討会立ち上げについては評価できますが、公契約全般についてもその検討会を拡大し、協議を開始すべきであります。強く要望すると同時に、委員会でまた議論したいと思います。
 がん検診受診率の向上については、今までも努力されておりますが、新中央病院が診療を開始し、がん高度治療機器も導入されたのを機に、より一層のがん検診の普及を図り、早期発見、早期治療、早期社会復帰につなげていっていただきたいと思います。
 有機農業の推進については、宮崎県の綾町の例を紹介しましたが、コンセプトは持続可能な地域発展です。本県においてもさらに自然生態系に配慮した農業を展開していっていただきたいと思います。
 高病原性鳥インフルエンザなどの悪性家畜伝染病対策については、絶対発生させない、また拡大させない対策がしっかりととられております。家畜保健衛生所の職員さんにかかる負担は大変大きいものがありますが、アンテナを高くし、本県の畜産を守り振興させていくため、どうか頑張っていただきたいと存じます。
 また、獣医師職員の確保対策については、大学訪問も実施し、本県への就職を求めております。確保に向けた御努力には敬意を表します。しかし、医師、歯科医師同様六年制教育を受け、国家資格も獲得している獣医師職員の処遇については寂しい思いがします。処遇改善について、引き続き全国知事会などあらゆる機会を通じて主張していただきたいと思います。
 最後に、提案を一つしておきたいと思います。
 会派で先日宮城県岩沼市を視察いたしました。岩沼市は、宮城空港の南部に位置し、三・一一大震災では、市域の約四八%、被災した沿岸市町村では最大割合となる二十九万平方キロメートルの津波による浸水面積となりました。伊達藩以来、四百年の歳月を経て植え継がれてきた松林は失われましたが、海浜公園の丘で助かった事例や居久根が減災効果を果たしたことから、岩沼市震災復興計画で、震災により生じた瓦れきを活用し沿岸部一帯に丘陵地を造成し、シイ、タブノキ、カシ、山桜などを植林し、津波よけとなる千年希望の丘を整備することとしております。これらの丘は、津波の威力を減衰、分散させるとともに、災害時における避難時間を確保する役割と防災教育の拠点としての役割を担います。
 昨年五月二十六日には、森の防波堤実現に向けた実証実験として、瓦れきをまぜて人工的につくった丘に、市民千人が十六種、約六千本の苗木を植樹しました。津波対策からすれば、連続した森の防波堤、特に照葉樹林帯を造成していくことがよりベターなのかもしれませんが、その地域ででき得る規模、手法で少しでも未来のための安心・安全を確保することが重要だと思います。
 本県においても、二次減衰、三次減衰効果を狙い、市町村や地域住民の方々の理解も得ながら、海岸部分について常緑広葉樹などの植樹を積極的に進め、防潮林をつくり、未来への安心につなげていくことは非常に有効な手段であると私は確信しております。今後の検討事項として、県としても深く認識していただきますよう要望し、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。